「人手不足で仕事が回らない」「忙しさのあまり重要な業務に集中できない」──。組織内での業務量が増大していると、管理職や経営者の方々には深刻な負担がかかります。そこで本記事では、業務過多の定義やリスク、原因から具体的な解決策までを分かりやすく解説します。短期的に取れる対処法だけでなく、中期・長期でどのように改善していけばいいのか、両面から確認していきましょう。
業務過多とは
定量的な定義
業務過多の明確な線引きとしては、厚生労働省が設定している「過重労働」の目安が参考になります。
- 月100時間を超える時間外労働
- 2〜6ヶ月の平均で月80時間を超える時間外労働
これらを超えた場合、健康リスクが高まり「過労死ライン」と呼ばれます。組織全体で残業が常態化している場合、すでに過重労働が発生している可能性が高いため注意が必要です。
(参考:厚生労働省「過労死等の労働時間の状況」)
よく見られる現象
業務過多が続くと、次のような現象が組織内で起こりやすくなります。
- 人材流出:疲弊した社員が退職を検討し始める
- 休職:メンタルヘルスをはじめ健康面に影響が出やすい
- コミュニケーション停滞:業務で手一杯になり、部下や他部署との連携が疎かになる
- モチベーション低下:忙しさが続くことで仕事への意欲が低下する
業務過多によるリスク
生産性が落ちる
業務量が多いと、十分な休息や学習の時間を確保できません。結果として、短時間で高品質な仕事をするための工夫や改善が行えず、次のようなデメリットが生じます。
- ミスや手戻りが増える
- クリエイティブな発想が生まれにくい
- チーム内の情報共有が不足する
さらに、下の図のように1人あたりの労働時間が短い国では生産性が高いというデータもあります。

人材の流出
過度な業務量により、社員の健康を損ねてしまうと、最悪の場合は離職につながります。特にエース級の社員が疲弊して辞めると、残った従業員がさらに業務過多になるという負のスパイラルで組織全体の競争力が大きく低下しかねません。
さらに新たな人材を採用・育成するコストも大きくなるため、経営にも大きな負担がかかります。実際に、退職経験者への調査によると、25%が退職理由として「労働環境・条件がよくない」という理由を挙げています。

業務過多の原因
組織の問題
- 人手不足
新規採用や業務委託などが進まず、慢性的に人が足りない。一人ひとりの負担が増え続けている。 - 業務配分が不適切
各個人にどの程度の業務を割り振るべきかが整理されておらず、偏りが生じている。 - 組織文化・社風
長時間労働が「当たり前」「頑張っている証」とされる風土が根付いている。長時間労働が評価されるような評価制度になっている。
個人の問題
- タイムマネジメント不足
優先順位がつけられない、タスク管理が苦手など、業務を上手くさばききれない。 - スキル不足
必要なITツールが使えない、業務フローのポイントを知らないなどで時間を浪費している。
解決ステップ
短期的対処
組織面:業務委託や外部リソースの活用
- 業務委託:専門性のある外部人材へアウトソースし、社内リソースを重要業務に集中させる
- 派遣社員やアルバイトの活用:緊急度の高いタスクの一部を切り出す
個人面:タスク管理ツール・プロジェクト管理ツールの導入
- タスクを可視化することで優先順位を明確にする
- 進捗管理をすることで計画的に仕事を進められる
中期的取り組み
組織面:業務フローの再構築・標準化、人事配置の最適化
- 業務フローの標準化:システム導入による自動化、不必要な承認プロセスや重複作業を廃止し、生産性を高める
- 人事配置の最適化:人員の適正配置を定期的に見直し、組織全体でタスクを分散する
個人面:スキルアップ(ITツールの活用など)
- ITリテラシー向上:日々の手間を減らし、より高度な業務に時間を割けるようにする
- 定型業務の自動化:RPAなどの導入でルーチン業務を効率化する
長期的戦略
組織面:組織風土の再設計、改善サイクルの確立
- 長時間労働を是としない文化づくり
- 定期的に従業員のストレスチェックや満足度調査を行い、労働環境や制度を見直し、改善を続けるPDCAサイクルを回す
個人面:キャリアビジョンの立案
- 自分がどうありたいかを今一度考え、長期的なキャリア目標を設定し、必要なスキル・知識を計画的に身につける
- キャリアプランに合わせた仕事の仕方や役割分担を組織に提案する
まとめ
業務過多は、個人のタイムマネジメントやスキル不足だけでなく、組織の人手不足や業務フローの非効率性など、さまざまな原因が絡み合って発生します。短期的には外部リソースの活用やツール導入で緊急対処しつつ、中期・長期の視点で組織風土や業務フローを根本的に見直すことが重要です。
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