「特定の人にしかわからない業務」が多く、休暇や退職時に仕事が回らなくなる――このような“属人化”に不安や不満を感じていませんか?
属人化は、業務の効率や組織全体の柔軟性を損ない、大きなリスクへと発展する可能性があります。本記事では、属人化の基本的な意味や原因、デジタル化の落とし穴、そして解消に向けたロードマップをわかりやすく解説します。最終的には属人化を解消し、チーム全体の成長と生産性の向上を目指しましょう。
属人化とはどういう状況か
属人化とは
属人化とは、ある業務が特定の人の知識やノウハウにのみ依存してしまい、その人以外は業務の進め方を把握していない状態を指します。たとえば、
- Aさんしか取引先との連絡方法を知らない
- Bさんだけが特定のシステムを操作できる
- Cさんの頭の中にしかマニュアルが存在しない
このように、仕事が個人の能力や経験に閉じてしまうと、他の人が引き継ぎに苦労し、組織としてのリスクが大きくなります。
属人化による弊害
業務停滞、生産性の低下
属人化によって、特定の人が休暇や退職をすると、業務がストップしてしまいます。結果的に、他の部署や取引先にも影響が及び、生産性の低下につながります。特に繁忙期や緊急時に担当者不在で対応ができず、顧客満足度が下がるケースも少なくありません。
変化への対応力低下
急な市場変化や組織再編など、環境が大きく変化した場合にも属人化は大きなリスクになります。
新システム導入や業務フローの見直しが必要になった際、特定の人にしかわからない情報やノウハウがあると、全体の足並みを揃えるのが難しくなります。その結果、変化に柔軟に対応できず、競争力の低下を招く可能性があります。
また急な退職者が出た場合、その人の業務内容を把握している人がいないために業務が停滞し、営業の機会損失や顧客との関係悪化につながる可能性もあります。
属人化の原因
自尊心
担当者にとって、自分だけが知っている知識やノウハウは「価値」として捉えられます。これは「自分はこの組織にとって不可欠だ」という自尊心を満たしますが、結果的に情報共有がしづらい空気を生み、属人化を助長してしまいます。
さらに自信が企業にとって「代えの効かない存在」であり続けることでその地位を安定させたいという心理が働き、なかなか業務の標準化が進まないという現状もあります。
評価制度、権力構造
個人のスキルや成果を中心に評価する制度では、「自分だけの手柄」が重要視されすぎることがあります。そのため、情報を独占したほうが有利だと感じる風潮が生まれ、組織内の情報共有が進まなくなる場合があります。
また、上下関係が厳しい組織では、上司や特定の権限を持つ人が情報を握り、他のメンバーが情報にアクセスしにくくなることもあります。
例)営業の契約件数が人事評価の重要な指標になっている場合、トップの人間が顧客情報や営業手法を他の従業員に開示せず、ノウハウを抱え込みやすくなる
業務の専門性の高さ
法律関連や高度な技術が必要な業務など、専門性が高いほど習得までに時間やコストがかかります。そのため、新しい担当者の育成が後回しになり、結果的に特定の人にしかできない仕事として固定化されるのです。
デジタル化の落とし穴
形だけの「デジタルツール導入」
属人化を解消しようと、タスク管理ツールやチャットツールを導入しても、実際に使いこなせなければ意味がありません。形だけ導入しても「使うのが面倒」「結局、資料は口頭で共有」などの理由で、属人化が改善しないまま放置されてしまうケースが多々あります。
ツールをなぜ導入するのかを明確化した上で、全員が使える状態にしないと導入した意味がありません。
IT依存による新たな属人化
デジタル化が進むと、一見すると情報共有は進んだように見えます。しかし、「そのツールの設定方法や操作方法を知っている人が少ない」という新たな属人化が発生するリスクが生まれます。
IT担当者が休暇や退職で不在になれば、誰もシステムを修正できず業務がストップする、という状況も起こり得ます。
解消のためのロードマップ
業務の見える化
属人化を解消する第一歩は、「どの業務が誰に依存しているのか」を洗い出すことです。シンプルな表やチャート、タスク管理ツールなどを活用して、まずは業務フローと担当者を一元管理してみましょう。業務量のバランスや難易度を客観的に把握できるようになります。
マニュアル整備
見える化で把握した重要業務から優先してマニュアルを作りましょう。文章だけでなく、スクリーンショットや動画などを活用すると、よりわかりやすい資料になります。特に専門性の高い業務は、段階的なステップや事例を交えながら整備すると、後任者が理解しやすくなります。
定期的なレビュー
一度マニュアルや業務フローを整備して終わりではありません。定期的に見直しを行い、実際の業務と資料に差異がないかをチェックしましょう。また、新たに導入したツールの使い勝手や改善点もレビューすることで、属人化の再発を防止します。
まとめ
属人化は、組織の生産性や柔軟性を大きく損なうリスク要因です。本記事では以下のポイントを解説しました。
- 属人化の意味と問題点
- 属人化がもたらす業務停滞や変化対応力の低下
- 自尊心、評価制度、業務の専門性などに潜む根本的な原因
- デジタル化に潜む新たな属人化のリスク
- 見える化・マニュアル整備・定期的なレビューによる解消のロードマップ
属人化解消の鍵は、「業務の情報共有・標準化」を地道に進めることです。特に総務業務は多岐にわたるため、郵便物・書類管理などの煩雑さがボトルネックとなりやすい領域です。そこで、総務の業務効率化方法として「atena」を利用するのも効果的です。たとえば、郵便物の自動デジタル化によって、担当者が不在でもリアルタイムで内容を共有できるなど、属人化リスクを大幅に減らせます。ぜひ、自社の状況に合わせて属人化対策を検討し、持続的な成長を目指してください。