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事務作業に革命を!AI活用がもたらす業務効率化の最前線

近年、バックオフィス業務を取り巻く環境は、法改正や人手不足、業務の高度化などにより、より複雑化の一途をたどっています。その一方で、AI(人工知能)の技術は急速に進歩し、事務作業の効率化にも多大な恩恵をもたらすようになりました。本記事では、総務・事務担当者が押さえておくべきAI活用のメリットと、具体的な活用シーン、そして導入を成功させるポイントを紹介します。

事務作業×AIとは

AIとは、機械学習や自然言語処理などの技術を活用して、人間が行う知的作業の一部を自動化・高度化する技術の総称です。総務や事務の現場でも、請求書の処理や契約書レビュー、郵便物の電子管理など、さまざまな業務でAIの導入が進んでいます。

AI活用の必要性

法改正や人手不足で総務・バックオフィス業務は煩雑化

電子帳簿保存法などの法改正や、コロナ禍を契機としたテレワーク普及によって、バックオフィス業務の形態は大きく変化しています。また、慢性的な人手不足も相まって、「作業量は増えているのに人員は変わらない」という状況に悩む企業が多く存在します。こうした背景から、業務効率化を図るためにAIの活用が急務となっています。

AIは急速進化しているが、日本企業の活用状況は世界的には遅れ気味

△総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」より

AI技術そのものは急速に発展していますが、日本の企業現場での導入は、欧米や中国と比較するとやや遅れをとっていると言われています。

実際に総務省が発表したデータによると、生成AIの活用について積極的に活用する方針である、買うと湯する領域を限定して利用する方針であると回答した割合は42.7%となっていて、米国、ドイツ、中国と比較すると半数ほどの割合となっています。

活用のメリット

AIを活用することで、バックオフィス業務には次のようなメリットが期待できます。

  1. 生産性の大幅向上・コア業務への集中
    手作業や単純作業を自動化することで、担当者はより付加価値の高い業務に時間を割くことができます。

  2. コスト削減
    作業時間を短縮することで人件費を削減し、またペーパーレス化による用紙代や保管コストの削減も見込めます。

  3. 顧客満足度の向上
    電話応対や請求書処理などのスピードが上がることで、社内外の顧客対応がスムーズになります。

AI活用具体例7選

ここからは、総務や事務の現場で具体的に導入が進んでいるAI活用事例を7つご紹介します。

AI請求書処理

どんなサービス?:AI-OCR(光学的文字認識技術)を使って、請求書の内容を自動読み取り・仕訳してくれるサービス

請求書を見てパソコンにデータ入力する時間を削減するため、経理担当者が手入力を行うよりもスピーディーかつ正確で、入力ミス防止やペオフィスのペーパーレス促進にも役立ちます。

Sansanが提供する「Bill One」では、請求書の受領〜仕分けデータ、振り込みデータの出力まで行ってくれます。

AI契約書レビュー

どんなサービス?:契約書の内容をAIで解析し、不利条項や抜け漏れがないかを自動検出してくれるサービス

「アシスタント」として法務担当者が最終チェックを行う前段階のスクリーニングをAIに任せることで、見落としリスクを軽減しながら、レビュー時間を大幅に削減可能です。さらに、誰でも一定の品質でレビューを行えるようになるため、法務業務の属人化解消に役立ちます。最終的な判断は人間が行う必要があることに注意しましょう。

AI契約書管理

どんなサービス?:契約書の相手方や内容、期日などをAIで解析し、契約台帳を生成、管理できるサービス

AIが契約書を読み取り、担当部署や契約相手、契約期間、更新期限などの重要情報を自動で抽出・整理することで、契約書管理の手間を大幅に削減できます。台帳への転記ミスや管理漏れのリスクも軽減され、更新期限のアラート設定などにより、契約更新忘れの防止にもつながります。契約情報の一元管理により、コンプライアンス強化や業務効率化にも貢献します。

Sansanが提供する「Contract One」では、複数の契約書の関係性を構造化し、全社の契約状況を可視化することも可能です。

社内AIチャットボット

どんなサービス?:従業員からの問い合わせ対応や、社内規程・マニュアルの検索をチャットボットで自動化するサービス

社内のナレッジを集約しAIに学習させることにより、バックオフィス担当者の社内のお問い合わせ業務を削減するだけでなく、質問者は知りたい情報を素早く知ることができるため、社内全体の業務効率化につながります。

AI受付システム

どんなサービス?:オフィスや店舗の受付業務をAIで自動化するサービス

音声認識や自然言語処理を活用し、訪問者の要件をヒアリングしたうえで担当者へ連絡します。人手不足解消だけでなく、受付対応の質を均一化するメリットもあります。

議事録作成

どんなサービス?:会議の音声をAIで自動テキスト化取りまとめするサービス

議事録作成にかかる手間や時間の大幅な短縮が可能になります。さらに話者の分離機能や要約機能により会議の振り返りが容易に。

AI電話代行

どんなサービス?:AI音声認識による電話応対サービス

担当者への取り次ぎを自動化することで、電話の一次応対業務を削減できます。営業時間外でも対応可能なため、顧客満足度向上社内リソースの有効活用を同時に実現します。

AI-OCRも用いた郵便物管理

どんなサービス?:郵便物を受け取り、スキャンしたデータをクラウドで管理するサービス(クラウド郵便atena

AI-OCRによって宛名や差出人情報を自動でテキスト化できるため、社内での情報共有や検索が容易になります。ペーパーレス化による保管スペース削減や、各部署への配布、郵便物を探す手間など、郵便物の管理にかかる工数の大幅な削減が期待できます。

クラウド郵便について詳しくは会社に届く郵便物をオンラインで確認できる「クラウド郵便」とは?仕組みを解説をご覧ください。

導入を成功させるポイント

AI導入を成功に導くためには、以下のポイントを意識することが大切です。

業務・課題の可視化

AI導入を成功させる第一歩は自社の業務プロセスや課題を洗い出し、どの部分をAIに任せたいのかを明確にすることです。

まずは現状の作業時間、エラー件数、処理コストなどを部門横断的に測定し、ボトルネックとなる課題を特定します。そして導入インパクト(削減コストやリードタイムの短縮)と実現難易度を鑑みて、投資対効果の高い領域から着手します。

社内の意識改革

AI導入は単なるITツールの導入ではなく、働き方や組織体制の変革であると社内に浸透させることが要です。

経営層のリーダーシップと現場の主体的なアイデアが融合することで、スムーズな社内周知や運用が実現しやすくなります。例えば、部門ごとに推進役を任命し、継続的に成功事例と失敗ポイントを共有することで学習する組織文化の醸成が期待できます。

小さく試す

いきなり全社展開せず、スモールスタートで検証と学習を重ねることがリスクを最小化します。

  • PoCの設計:期間・費用・評価指標(KPI)を明確にし、3ヶ月以内に結果が出るスコープで実施
  • KPIベースの評価:精度・作業時間・エラー率など具体的指標で効果を測定し、経営層へのレポーティングと次段階に意思決定に活用
  • 段階的スケール:PoC→部署単位の導入→全社展開とフェーズを区切り、都度フィードバックを取り込んでチゥーニングをしていく

まとめ

AIを活用することで、総務・事務業務には大きな変革が期待できます。請求書処理や契約書レビュー、受付システムや郵便物管理といった多岐にわたる業務プロセスが効率化されるため、限られたリソースをコア業務に集中させることが可能になります。特に郵便物管理においては、クラウド郵便atenaを活用することで、郵便物の確認や手配が格段に効率化されます。
AI導入を成功させるには、まず課題を可視化し、小さな成功体験を積み重ねながら社内の意識改革を進めることが鍵です。バックオフィス業務のDXを実現し、企業としての競争力を高めるためにも、今こそAIを活用した取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。